経済は極めて論理的である



経済は、極めて論理的である。
会計の論理に従って分析すれば鮮やかに経済の状態は、浮かび上がってくる。

現在の経済を動かしているのは、「お金」の力である。
「お金」の働きには、短期的な働きと長期的な働きがある。

我々は、インフレーションやデフレーションと言うとすぐに、物価、即ち、フローのインフレーションを思い浮かべる。しかし、インフレーションやデフレーションと言う現象は、物価だけでなく資産、即ち、ストックにもある。
今日、世界経済を混乱させているのは、どちらかと言うと資産インフレーション、ストックインフレーションであり、デフレーションである。
物価によるインフレーションは、生活にすぐに影響を及ぼすが資産インフレーションは、生活に影響を及ぼすのに時間がかかる。なぜならば、資産インフレーションは、長期的資金の働きによるからである。そして、この資産インフレーションがバブルと言われる現象である。

長期的資金の働き、表に現れにくい。それは、短期的資金は、損益上に収益と費用と言う形で計上されるのに対して、長期的資金の働きは、資産や負債、純資産の増減と言う形でしか現れないからである。

フローのインフレーションとストックのインフレーションは必ずしも連動しているというわけではない。ただフローは、ストックを制約する性格があるために、フローインフレーションが同時期に派生しないとストックインフレーションは、臨界点に達すると収縮する方向に向かう性格がある。
資産市場が収縮すると長期的資金の働きを抑制するようになる。長期的資金の働きで最も影響を受けるのは、民間企業の投資である。
投資は、消費とともに所得に影響を与える要素であるから、総所得が抑制されるようになり、経済成長に負荷がかかる事になる。

今日の会計では、利益が経済状態を表す最終的指標として扱われている。つまり、現在の会計では、経営状態、即ち、経済の状態は、期間損益を基礎として測定される。問題は、損益上に現れてこない資金の流れである。損益上に現れてこない資金の流れは、主として貸借取引の問題である。なぜならば、損益は、売買を基に作られているからである。 損益上に現れてこない資金の流れには、長期借入金の返済額、運転資本、設備投資の資金源などがあり、これらの資金の流れを明らかにし、その均衡を見れば経営状態で見えなかったところが見えるようになる。 表に現れない資金がどこから、何によって調達され、どこへ、どの様に支出されるのか。それを見極める事である。 設備投資の資金は、長期借入金と純資産によって調達する。 長期借入金の返済資金は、減価償却と純資産から調達する。 運転資本の資金は、短期借入金と営業純益から調達する。
財務省の作成している、「法人企業統計」に基づいて、全産業、全規模の資産の増減、負債の増減、純資産の増減を子細に見ていくと長期的資金の働きが見えてくる。


法人企業統計

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