国債は借金か

 経済制度というのは、基本的に、相互牽制と均衡の仕組みである。相互牽制と均衡が市場の働きを規制し、産業の構造の重要な要素なのである。
 この様な相互牽制や均衡の仕組みは、経済量を表す数直線を比較することで解明することが可能である。
 貨幣単位は、数直線で表される。貨幣価値は数直線で表される。価格構造は数直線で表される。収益構造は、数直線で表される。費用構造は数直線で表される。

 国債は、借金なのであろうか。借金だと認識するから、国債の働きを正当に評価できず、かえって、国債の量を無用に膨らませてしまうのである。
 国債は、表象貨幣制度において貨幣の流通に伴う、反対作用である。つまり、国債があるから表象貨幣制度は成立し、かつ、安定する。
 国債の働きは、紙幣の流通量の総量を制約する。金利の動向を定め、金利の下限、上限を制約する。
 国債は、通貨の総量を規制し、財政は、通貨の増減を調節する。
 それによって物価や景気を制御する。又、公共投資の有り様によって国債の性格は、負債に近いものか資本の近いものかを確定する。
 また、国債は、外貨準備金を用意し、経常収支の過不足を補う。国債が外貨建てか、自国通貨建てかでその働きに違いが生じる。

 ギリシアの問題を見るとECの経済体制には、構造的問題が潜んでいると思われる。つまり、貨幣制度の仕組みに問題がある。
 貨幣政策においては、貨幣の流通量をどう規制するかが最大の問題である。貨幣の発行量をどう規制するかが重要なのである。その為には、貨幣の発行と流通の仕組みが重要になる。それは貨幣量を制御する仕組みでなければならな

 ギリシアの財政破綻は、詳細の情報を持っていないので推測の域を出ないが、構造的な問題が隠されているように思える。
 それは、将来の税収等を担保に民間から借り入れした点から伺われる。

 国債は借金なのか、資本なのか。つまり、国債というものをどの様に捉えるかが、重要な鍵を握っている。
 国債というのは、紙幣の発行に伴う反対取引によって生じる。元々、貨幣の長期的な働きと短期的働きを区分したことから期間損益と現金主義は分かれたのである。

 問題なのは、借入が紙幣の発行に繋がらないと言う点である。

 通貨政策を構築するための要素は、第一に貨幣制度。第二に、発券機関の働きと形式。第三に、国債の量と管理。引受機関の在り方。第四に、税制と徴税主体の在り方。第五に、社会制度、国家制度の整合性と在り方。第六に、金利の設定であ
 しかも、国家は一様ではない。複数国家からなる国家群による貨幣制度は、全体の仕組みと個々の国家の仕組みとの整合性が重要な鍵を握る。重要なのは仕組みである。

 貨幣制度を構築するためには、貨幣制度を構成する要素を明らかにする必要がある。貨幣制度を構成する要素は、第一に貨幣。第二に、貨幣の発券機関。第三に、貨幣は何を担保するのか。貨幣の量を制約する物、或いは、基準。国債。第四に、貨幣の供給機関と手段。第五に、貨幣の回収機関と手段であ
 その上で、貨幣の持つ基本的性格に対する認識が重要となる。
 貨幣政策の実際は、貨幣の発行量を制約する事と、貨幣の供給、回収、そして、財政、及び経済政策の問題である。

 期間損益は、貨幣の長期的働きと短期的働きを区分したものである。

 貨幣価値には、残存価値、潜在価値、そして、現在的価値がある。残存価値は債務を構成し、潜在的価値は、債権を構成する。現在的価値は、現金として実現する。
 現在的価値は、貨幣の運動によって生じる直接的価値である。
 現金は、短期的な貨幣価値を実現し、債権と債務は長期的貨幣価値を構成する。

 現金は、取引が成立した時点での貨幣の運動量を示している。取引よって生じる貨幣の運動は、同量の債権と債務を生じさせる。
 単位期間内で清算される債権が収益であり、次の単位期間まで繰り越されるする債権が資産である。単位期間内で清算される債務が費用であり、次の単位期間まで繰り越される債務がが負債である。

 貨幣価値は、単位貨幣間の相互牽制によって制御されている。単位貨幣は数直線である。

 為替の問題は、貨幣単位の濃度の問題である。

 経済の目的は、金儲けにあるわけではない。世の中に有用な物や用役を生産し、提供して、人々を養う事にある。


 経済数学で重要なのは、対称(symmetry)、比率(proportion)、調和(harmony)、波動(rhythm)、反復(repeat)、均衡(balance)、統一(unity)である。
中でも、会計においては、対称性と均衡が核となる要素である。

 物理学的に見ると、経済は、流体力学、熱力学的な性格を持っている。

 確率統計も重要ではあるが、経済と数学との関係は、もっと根本的な部分でこそより深く関わっていることを念頭に置いておくべきである。
 なぜならば、現在の経済は、表象貨幣を基盤とした貨幣経済であり、表象貨幣は、自然数の集合だからである。貨幣単位、及び、貨幣価値は数直線として表現できる。
 表象貨幣を基盤とした貨幣経済における経済現象は、物理的現象よりもより純粋数学に近い現象といえる。貨幣経済は、数論、及び集合論、代数と言った基礎数学が重要になる。
 経済は、流体力学、熱力学的な性格を持っている。

 会計を群論をもって再構築することができたら経済は根本的に変革されるであろう。
 会計は、自然数の集合である。
 会計は、群である。
 会計の元は、勘定である。勘定は、取引の結果、生じる。
 勘定は類(class)である。
 勘定は、資産、費用、負債、資本、収益のいずれかに属する。
 又、勘定は、貸方、借方いずれかの領域に属する。

 取引は、要素を勘定に分解され、類別される。
 勘定は、取引が成立した時点で貸方の領域と借方の領域に分類される。
 取引が成立した時点における取引を構成する貸方勘定の総計と借方の勘定の総計は等しい。
 貸方の領域の勘定の総計と借方の領域の勘定の総計は、等しい。
 期中における勘定の計算は、常に同一の勘定間で行われる。
 勘定には、正の領域と負の領域がある。
 個々の勘定の残高、即ち、総和は、常に正の値をとる。

 資産、負債、収益、費用の総計は、常に正の値を取る。

 現金と貨幣価値とは別の物である。

 取引は、正の勘定と負の勘定からなる。一つの取引を構成する勘定の総和はゼロである。
 正の勘定とは、現金勘定に対して正であるか、負であるかによって判定される。
 利益とは、差額勘定であり、実物勘定ではない。
 借方、貸方の過不足は、資本と利益によって調整される。
 資本勘定は、元本と利益からなる。
 資本は、事業の始点の位置を示す。

 会計というのは、測量の技術の一種である。





                    


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