為 替
為替取引は、物と物の取引でも、物と金の取引でもない。金と金の取引である。この点が重要なのである。
物と金の交換取引ならば、影響するのは物と金の流れではなく。金と金の流れである。国家間の取引において物と金の流れを集計した指標は、経常収支であるが、金と金の取引を集計した指標は、資本取引である。故に、為替相場に直接的に影響するのは、資本取引である。ただし、その資本取引の背景には、交易、即ち、物の流れが存在する。
以上のことを鑑みると、為替相場を主導するのは資本取引であり、その相対勘定として経常収支があると見なされる。即ち、為替相場は、資本取引と経常取引が均衡するような方向に変動する。
為替取引とは、貨幣対貨幣の交換取引だと言う事である。交換取引と言う事が鍵なのである。交換取引で重要なのは、交換する量の比率である。
なぜ、交換する必要があるのかである。基本は、貿易における決済である。為替制度の根本は、決済の仕組みである。その点を忘れてはならない。
そして、その決済に必要な要素が為替相場を動かす要素でもある。決済に必要な要素というのは、外貨準備、経常収支、資本収支、国債である。国債は、自国通貨と相手国の通貨を交換するための資金を捻出するための手段でもある。つまり、外貨準備に対応するための自国の通貨の準備である。
又、国債で重要なのは自国通貨建てか、外貨建てかである。この点も資金の流れる方向に重大作用を及ぼし、為替相場にも関連する。
交換した要した通貨量、両替した通貨は、国内の物価、財政に重大な影響を及ぼす。この点を充分に考慮して政策は立てられなければならない。
貨幣の流れる方向は、つまり、国内に向かって資金が流れか、海外に向かって資金が流れるかは、資本収支の過不足によって決まる。
資金の流れる方向は、貨幣の流通する量に直接的な影響を及ぼす。
対外的為替取引を考える上で重要となるのは、経常収支+資本収支+外貨準備増減=0という方程式である。これは通貨圏間の交易構造を表す方程式である。
これは、経常収支+外貨準備増減と資本収支とが均衡しているという意味にもとれる。また、経常収支の裏付けを資本収支と外貨準備がしているともとれる。又、経常収支と資本収支の差が外貨準備になるとも言える。
経常収支に対応しているのは、資本収支と外貨準備である。資本収支と外貨準備に影響をするのは、外貨建て国債である。外貨建て国債は、外貨準備と財政収支に影響を及ぼす。
また、外貨準備>0、或いは、前期外貨準備残高+外貨準備増減>0でなければならない。この点が重要である。
資本取引は、本質は投資である。
問題なのは、経常収支と資本収支の中味である。特に、資本取引は、長期資金の働きを規制する取引であるから、その内容が資金の性格を決定付ける。
資本取引というのは、言い替えると投資取引であり、短期資金を長期資金に振り返る操作である。投資取引というのは、資金の回収を前提とした取引、つまり、負の取引だと言う事である。資金の回収が見込めなければ、交易上の不均衡は拡大する一方で、是正できないことになる。つまり、何等かの実物取引を前提とする必要があることを意味する。
ただ、金を借りるための取引、或いは、自分の資産を売るだけの取引では、結局、資金を回収する目処、つまり、収益を見込める目処が立たない。つまり、そのままでは、事業資金にはならないのである。何等かの事業に対する投資に転化することによってはじめて資金の回収が可能となる。資本収支の内容によって資金の性格を決定付けるのである。
外貨準備というのは、国際取引における決済のための支払準備を意味する。
金本位というのは、支払準備のために、金を担保する制度を言うのである。
担保する物は、本来、何でもいいのである。金でも、銀でも、国債でも、土地でも、宝石でも、美術品でも、石油でも、それこそ、特定の国の通貨でも、公式な国際市場において貨幣価値が確定できる物ならば何でもいいのである。
通貨圏の当事者間の取り決めによって定めればいいのである。
特定の国の通貨を基軸通貨とし、基軸通貨を外貨準備として認める体制を基軸通貨体制という。
基軸通貨体制では、基軸通貨には、国際決済における貨幣基準を一元化する機能がある。
米ドルの特異なことは、米ドルは基軸通貨だという点と、石油の国際決済が米ドルで行われているという二点である。
資本取引においては、金利差が重要な役割を果たしている。金利差は、資金の流れる方向に対して決定的な役割を果たす要素の一つである。
時間的、空間的金利差は、資金の流れる方向と速度に影響する。時間的というのは、過去、現在、未来の金利差である。時間的金利差は、長期、短期である。又、未来は、予測の域を出ない。空間とは、特に、国の内外の金利差が影響する。
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