経済危機が克服できない原因


 百社中、一社か、二社が破綻したというのならば、それは、当該企業の問題である。しかし、五分の一に相当する企業が破綻する場合、前提に間違いがあると思った方が妥当である。三分の一の企業が破綻した場合は、構造に問題があると思われる。過半数の企業が破綻したら明らかに制度に欠陥がある。

 現在進行中の経済危機が解決できない原因は、問題認識の間違いにある。第一に言えるのは、現在の市場経済は、長期均衡を前提とした体制なのに、短期均衡を前提とした施策を採っている。第二に、不良債権の問題点は、名目的価値、即ち、債務と実質的価値、即ち、債権の乖離から生じているのに、実質的価値だけの問題と誤認していることである。

 そもそも、継続を前提とした企業を短期実績だけで評価すべきではない。その為に損益の基準があるのである。損益の基準は、黒字が常態であることを想定しているわけではない。損益の均衡を前提としているのである。
 問題は、損失の原因、内容である。何が原因で赤字になったのか、それは一時的なものなのか産業目的や長期的展望に立った判定が重要なのである。

 名目的債務を裏付ける働きをしている資産の貨幣価値は、乱高下するのに対し、名目的債務は、額面で動く。
 いくら不良債権が処理されても借金(名目的債務)が減るわけではない。名目的債務は、借入金が返済されてはじめて解消される。その借入金の返済原資は、収益によって為されなければならない。借入金の返済を借入金に頼る間は、むしろ債務の残高は、累積するのである。

 経済の歪みは会計制度の歪みに表れる。会計制度の歪みは、経済に反映される。会計制度の歪みは財務諸表に表れる。

 国際的、国債の買い取り機関の設立も一つの考え方である。国債を引き受け、その国債を担保として国際通貨を発行するような機関である。その際、永久国債の活用も合わせて検討すべきである。



                    


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